大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 昭和36年(う)445号 判決

被告人 鈴木昭

主文

本件控訴を棄却する。

理由

原判決挙示の証拠を総合すれば原判決判示第二の事実は優にこれを認めることができる。そして被告人が焼燬した原判決判示の各文書は被告人の公職選挙法違反被疑事件捜査に関する書類であつて、公訴が提起された時は証拠書類等として裁判所に提出されることもあるところ右文書中にはその周辺が焼け焦げているとはいいながら文書の内容を閲読することが可能であり従つてその内容の全部又は一部を知ることができなくなつたとなし得ないもののあることは所論のとおりであるが、右文書の内容を閲読できるものともいえどもその上辺若しくは周辺は炭火し欠損していてそのままの状態では法廷において証拠書類として証拠調をなし記録に編綴して裁判の用に供するには困難な程度に損傷していることが認められるから被告人の所為は右文書についても毀棄罪を構成することは論をまたない。よつて原判決には何等事実誤認若しくは法令の解釈適用の誤はない。

(その余の判決理由は省略する。)

(裁判官 岩田誠 渡辺辰吉 秋葉雄治)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例